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【もっと知りたい】AIとICT、どう使い分ける? 保育の未来とテクノロジー

AIとICT

ここまで、AIを活用して日々の業務を効率化する具体的な方法を紹介してきました。「AIって思ったより身近で、便利そう!」と感じていただけたのではないでしょうか。 この章では、もう少し視野を広げて、AIと似た言葉である「ICT(アイシーティー)」との違いや、それぞれのツールの選び方、そしてAIがますます進化していく未来において、私たち保育士に求められるスキルや、変わらず大切にしたいことについて、一緒に考えていきたいと思います。

AIとICT、それぞれの得意なこと~「AI」と「保育ICTシステム」、何が違うの?~

「AI」と「ICT」、どちらも保育現場の業務改善に役立つテクノロジーですが、実は得意なことや役割が少し異なります。それぞれの特徴を理解して、上手に使い分けることが大切です。

AI(人工知能):文章作成、アイデア出し、翻訳など、個別のタスクを柔軟にサポート

これまで見てきたように、AI(Artificial Intelligence:人工知能)は、まるで人間のように学習し、考え、判断するコンピューター技術のことです。

  • AIの得意なこと(おさらい)
    • 文章の作成・要約: 指導案のたたき台作成、おたよりの文案作成、会議録の要約など。
    • アイデアの発想支援: 活動のヒント出し、行事の企画案、新しい遊びの提案など。
    • 情報収集・分析: 最新の保育情報の検索、専門知識の収集、データの傾向分析など。
    • 翻訳・言語処理: 外国籍の保護者とのコミュニケーション補助、多言語でのお知らせ作成など。
    • 画像生成・認識: 簡単なイラスト作成の補助、写真の整理など。
    • プログラミングコード生成: Excel VBAのような簡単な自動化ツールの作成補助など。

AIの大きな特徴は、「柔軟性」「個別タスクへの対応力」です。保育士さん一人ひとりの「こんなことがしたいな」「ちょっと手伝ってほしいな」という具体的な要望に対して、まるで賢いアシスタントのように、きめ細かくサポートしてくれます。特定の課題解決や、創造的な作業のお手伝いが得意と言えるでしょう。

ICT(情報通信技術):園務支援システムなど、園全体の業務(記録管理、登降園、請求など)を体系的に効率化

一方、ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)とは、コンピューターやインターネットなどの通信技術を使って、情報を処理したり共有したりする技術全般を指します。保育現場では、特に「保育ICTシステム」や「園務支援システム」と呼ばれるものが代表的です。

  • ICT(保育ICTシステム)の得意なこと
    • 園児情報の管理: 園児台帳、アレルギー情報、発達記録などを一元管理。
    • 登降園管理: ICカードやタブレットで打刻し、登園・降園時間を自動記録・集計。延長保育料の計算も自動化。
    • 指導計画・保育日誌の作成・共有: テンプレートを用いた効率的な作成、職員間での共有・閲覧。
    • 保護者連絡: アプリやメールでの一斉連絡、欠席連絡の受付、写真の共有など。
    • 請求業務の自動化: 保育料や延長保育料の計算、請求書発行。
    • 職員の勤怠管理・シフト作成支援: 出退勤記録、休暇管理、シフト作成の効率化。
    • 行政への報告書類作成支援: 指導監査などに必要な書類作成の補助。

ICT(保育ICTシステム)の大きな特徴は、「体系的」かつ「網羅的」に園全体の業務をデジタル化し、「効率化」することです。個別のタスクというよりは、園の運営に関わる様々な業務プロセスをシステムで管理し、情報の集約、ペーパーレス化、作業の自動化を進めることで、園全体の業務負担を軽減します。

AIとICT(保育ICTシステム)の違いをまとめると…

特徴AI(人工知能)ICT(保育ICTシステムなど)
得意なこと個別のタスク支援、文章作成、アイデア出し、翻訳、分析など柔軟な対応園全体の業務の体系的な管理・効率化、情報共有、自動化など
役割保育士個人の「アシスタント」「相談相手」園全体の「業務管理システム」「情報プラットフォーム」
イメージ賢い文房具、ブレインストーミングの相手デジタル化された職員室、園の総合的な業務ツール
Gemini, ChatGPT, Claude, リートン(wrtn)などキッズリー, コドモン, ルクミーなど

もちろん、最近では保育ICTシステムの中にAIの技術が組み込まれ始めているものもあります。例えば、記録された日誌のデータから子どもの発達傾向をAIが分析して保育者にフィードバックしたり、保護者からの問い合わせにAIチャットボットが一次対応したりするような機能です。AIとICTは互いに補完し合いながら、より便利に進化していくと考えられます。

大切なのは、それぞれの得意分野を理解し、「この業務にはAIツールが向いているかな?」「園全体の情報共有にはICTシステムが必要かも」と、目的に合わせて使い分けることです。次ページからは、更にAIとICTを無料・有料という観点から比較し、それぞれのメリット・デメリットについて紹介しています。AIやICTについて、より詳しく知ることで、適切な判断の一助になればと思います。